家賃は、その賃貸物件の所有者である大家さんが決定しています。
ただ、独断や思い付きで決めているわけではありません。様々なデータから導き出した価格に設定しています。今回は、その【家賃】を決める要素を、少し紐解いてみましょう。

目次
データ(1)【商圏調査】
・そのエリアの人口・世帯数・地域性など
・交通手段について、最寄り駅の乗降客数や賃貸物件までの距離
・付近のコンビニや商業施設、大学・工場・オフィスビルなどの有無
こういったマンション周辺のこと・立地条件を、色々と調べます。
賃貸物件は【お部屋を借りる方】が居てこそ成り立ちます。大学の近くには、単身者(シングル)用のマンションの需要がありそうですよね。子育てがしやすい環境が整っている地域なら、ファミリー物件が人気かもしれません。そういったターゲット層を把握する必要があるのです。
さらに≪同じ商圏の他のマンション(競合するような物件)の家賃はいくらなのか?≫という情報も調べて参考にします。
データ(2)【マンションの建設・購入・メンテナンスにかかる費用】
建物を建てる・買う・修繕する等の際には、それなりの高額な費用が掛かります。それらの費用を回収する方法が、家賃という収入になります。マンション経営では、それらの支出と収入の2つのバランスが取れるように、事業計画を立てる必要があります。
たとえ費用をかけて、豪華で素晴らしい設備のマンションを建てたとしても≪家賃が高すぎて入居希望者の方がなかなか見つからない≫なんて状態では、家賃収入に繋がりません。それでは困りますよね。入居率・稼働率・利回りといった言葉を聞いたことはあるでしょうか?マンションの大家さんにとって重要な収益のための数字です。すべてのお部屋に入居してもらえるように、退去後もすぐに次の入居者さんが見つかるように、家賃収入のある状態が続くマンションにするために――【家賃の価格設定】は時に、大家さんの頭を悩ませています。
大家さんは、マンションを建てる時点で家賃の価格を決めています
例えば大家さんが所有している土地に、マンションを建てる場合をご紹介します。まずは、建設会社や設計会社・デベロッパー(土地開発を行う人や会社)から、商圏調査に基づいた「自分の土地面積・エリアに合うマンションとはどういうものか」という提案があります。
・どのくらいの規模か(戸数)
・どのようなタイプか(単身者用かファミリー用か、間取りはどのようにするか)
・建物のデザイン
・建設にかかる総費用はいくらなのか
・建設後のメンテナンスについて
・家賃収入の見込みについて
といった内容の具体的なプランから、大家さんはマンションを建てるかどうかを決めます。
ハイグレードな設備のマンションにするのか?なるべく戸数が多いマンションにするのか?シンプルなお部屋にするのか?こだわってデザイナーズルームにするのか?時代のニーズは?10年先・20年先に住みたいマンションとは?……などなど。これらの様々な内容を検討・考慮して【家賃設定】をするのです。
また、銀行からの融資を受ける(お金を借りる)場合は、銀行側も≪設定される家賃が妥当かどうか≫を確認します。大家さんの経営が後々も上手くいく計画でなければ、融資した銀行も困るからです。
このように、大家さんはマンション建設の準備段階ですでに、家賃価格を構想しているのです。
家賃は支払いに対して、何か形あるものが手に入るわけではありません。≪そのマンション・その部屋に住む.≫という【価値・値打ち】を金額として提示する、それが家賃です。
賃貸物件をお探しの方・お住まいの方にとって「家賃の価格」はとても重要な点ですよね。
それを決める大家さんも、入居者さんに選んでもらえるように、価値を感じてもらえるように、それに見合う家賃であるようにと考え抜いて、決められているのです。