引越先を決める時、不動産屋さんと一緒に実際にお部屋を見に行くことを「内覧」と言います。
資料や写真を一通り見てから、興味のある物件に実際に足を運んで、実物のお部屋に入って確認をすることです。

内覧数は平均3.5件だそうです

そこに住むのですから、できれば妥協はしたくないですよね。でも、何室も何室も見に行くのも、不動産屋さんの担当者の人に気を遣ってしまったりすることがありませんか?

お部屋探しの大手ポータルサイト「SUUMO(スーモ)」を運営している株式会社リクルート住まいカンパニーさんの『賃貸契約者動向調査関西版(2015年5月)』という資料があります。

一番多いのが5件(23.7%) / その次が3件(19.5%) / その次が1件(13.1%)

お部屋探しをされるお客様のアンケートなどから、色々な統計を取って公開してくれている資料です。それによると、2014年の調査結果では、お部屋を決めるまでの物件内覧数は【平均3.6件】だそうです。

意外と少ない!?

ということは、お部屋探しをしたお客様の2割以上は、0件~1件の見学数で引っ越し先を決めている、ということです。内覧で物件に足を運ぶ件数は、年々減ってきています。
その理由は、お察しの通りインターネットやスマートホンの普及です。

お部屋探しができる、というだけでなく、写真や動画、最近では天井までぐるりと見渡せる360度カメラによる画像、テレビ電話のように自分が直接現地に行かなくてもリアルタイムでお部屋の様子を確認しながら質問もできるサービスなど、『バーチャル内覧』の手段がどんどん進歩しています。

ネットを駆使して調べればわざわざ内覧しなくてもお部屋の様子がある程度分かりますし、物件の周辺の様子もGoogleのストリートビューなどで大体の情報を確認することができます。
気になることだけメールや電話で確認し、納得すればそのまま実物を見ずに契約するというお客様が増えてきています。

現場も実感しています

駅前にあるお部屋紹介の仲介店の方にお話を聞いてみても、『お部屋を探しています』と来店されるお客様よりも『この部屋を見たい』と来店されるお客様が増えているそうです。

インターネットで希望のお部屋をある程度調べた上で、「ご指名」のお部屋を定めてからお店に行く、ということです。
そして、お部屋を見ずにそのままご契約される方もいる。

時代の流れによって、お部屋探しの形は変化しています。写真や動画やライブ中継によるお部屋案内は、確かにこれから増えていくでしょうし、進歩していくと思われます。
ただ、賃貸マンションの管理を20年やっている僕としては、内覧は納得いくまで、した方が良いと思います。

納得いくまで見ていただきたい

僕たちもインターネットに掲載するためのお部屋の写真や動画を撮影しますが、写真のプロでない現場スタッフの撮影した写真でも『お、思ったよりきれいに撮れたな!』と思うことがあります。
もちろん、必要以上に加工したり、例えば天井を高く見せたり部屋を広く見せるために画像を引き延ばしたり、傷や汚れを消してしまったりするような「嘘の画像」を作るようなことはしません(してはいけません!)が、それでも何枚か写真があれば、一番よく撮れたものを選びます。

実物より悪い写真は載せません

どこのサイトでも、少なくとも実物より悪く見える写真は載せないと思います。「実物は写真で見るより悪い」と言いたいのではなく、写真から受け取った印象と実際のお部屋では違うこともあるし、色や雰囲気はモニターによっても見え方が違います。

インターネットでのお部屋紹介では内装や設備について具体的に紹介することが多いですが、住むとなると、周辺の環境や車の通る音、人通り、陽当たりや風通し、ニオイなど、人それぞれいろいろなポイントが気になるものです。

『ここで暮らす人がいる』ということを第一に考えて部屋作りをしてきた者として、声を大にして申し上げます。

画面で見るだけでは分からないことが、必ずあるんです!

古い考え方だと思われるかもしれませんが、賃貸とはいえご自身の住まいです。
画面からの情報だけでなく、やっぱり一度はご自身の目で現物を見て納得してから選んでいただきたいなと、思います。
案内してくれる不動産屋の担当者さんもよく分かっていますから、変に気を遣う必要はありませんよ。

投稿者 なかざわ

マンション管理一筋20年のベテラン管理職。真面目な頭脳派、家族&猫(可愛い)と暮らす40代男性。得意分野は【賃貸市場の動向等のマーケティング分野】と【リフォーム等の住まいづくり分野】 知識量・経験値(失敗談含む)はライター内ナンバーワン。 [宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士]