【メゾネットタイプ】や【ロフト付き】のお部屋というのは、人気はありますが、数自体は少ない物件です。お部屋探しをお手伝いしている時に「メゾネットってなんですか?ロフトとはどう違うんですか?」と訊かれることもあるので、その違いをなるべくわかりやすくご説明してみますね。

マンションやアパートといった集合住宅は、【フラットタイプ】と呼ばれる、一部屋を一層(ワンフロア)の平面で構成するのが一般的です。しかし、【メゾネットタイプ】や【ロフト付き】のお部屋は、≪室内に階段がある≫という特徴を持っています。室内に階段があるマンションというと、【ロフト】をイメージされる方も多いかもしれませんね。
「では【メゾネット】ってなに?ロフトより2階部分が大きいこと?ロフトをもっとオシャレに言い換えた言葉?階段だとメゾネットでハシゴだとロフトなの?」きっと、そんな疑問を持っていらっしゃる方が、このコラムに辿り着かれたのではないでしょうか?

【メゾネット】と【ロフト】は大きな違いがあります。

まず、建築基準法における≪部屋≫の定義をご説明いたします。高さや採光・換気に関するいくつかのルールがありますが、簡単にまとめますと、「天井が210cm以上」で「窓の面積が部屋の面積の7分の1以上」あると≪部屋≫として認められます。

【メゾネット】は、1世帯分の居住空間が2階以上で構成されていているお部屋のことをいいます。一戸建てのように室内に階段があり、戸建てに住んでいるかのような感覚でお住まいいただけます。
マンションのすべてをメゾネットタイプにするケースは少なく、1~4階は普通のフラットなお部屋が複数あり5.6階部分がメゾネットになっているような、≪特定の部分だけに室内階段で2層つなげている≫ケースが多いようです。

それに対し、【ロフト】は建築基準法における≪部屋≫ではありません。建築時に、天井高が1.4m以下・所在階の床面積の1/2未満で、かつ用途も物入れ(収納)で申請されている部分のことを【ロフト】というのです。そのため、【ロフト】の部分は≪部屋≫ではありません。階段があっても、2階として認められていません。

つまり、マンションの1階と2階の2層をつなげたのが【メゾネット】、1部屋の1層を上層部と下層部に分けて使用したのが【ロフト】ということです。

ちなみに、たまにテラスハウス(長屋)が【メゾネット】と表記されている場合がありますが、本来は別のものです。テラスハウスは≪お隣と壁を共有する構造≫の低層接地型住宅のことを言います。1つの家を縦2つ以上に分けて別々の世帯が使用している家、幾つかの家が連結している家、というとわかりやすいでしょうか。マンションのように共有のエントランスや廊下などはありません。

【メゾネット】のメリット・デメリット

【メゾネット】とは、フランス語で「小さい家」、英語で「複層住宅」を意味する言葉です。日本においては、「複層住宅」という意味で使用されています。

室内に階段があることが、「マンションなのに一戸建てに住んでいるような感覚が持てる」と、憧れる方も多いようです。2階部分があると必然的に窓も多くなり、採光・風通しの面も利点と言えます。
それなら「一戸建てを借りればいい」と思う方もいるかもしれませんね。しかし、一戸建ての感覚だけでなく「マンションである」ということが大きなメリットにもなるのです。

防犯面について

マンションのエントランスには、オートロックや防犯カメラを設置しているところも多くあります。マンションによっては常駐の管理人さんや、フロントにコンシェルジュが居てくれるところもあるでしょう。そういった点に防犯性や安心を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ゴミ出しについて

小さなことですが、日々の家事を考えるとゴミ出しの利便性は重要です。≪専用のゴミ出し場≫があったり≪専門の業者≫に回収をお願いしているマンションなんかだと、自治体よりもゴミ回収の回数が多かったり、24時間365日いつでもゴミ出しOKだったりします。こういったマンションの≪共有の設備≫と一戸建てで暮らす感覚と、両方を味わえるのが【メゾネットタイプ】の大きなメリットと言えます。

さらに≪賃貸≫の新築や築浅の一戸建てはとても数が少ないです。「なるべく新しい家に賃貸で住みたい、2階がある家がいい」となると、地域や場合によってはメゾネットタイプのマンションの方が見つかりやすいかと思います。

【メゾネット】のお部屋の間取りはファミリータイプが多いです。特に新婚さんや恋人との同棲の住まいとして1LDKや2LDKの間取りが人気のようです。気を付けていただきたいのが、【メゾネット】は大きく2つのタイプに分かれるということです。

1つは、1階には玄関のみ、そこから階段で2階に上がり、そのワンフロアに生活空間があるタイプ。玄関からは階段しか見えない作りなので、玄関先で対応する来訪者にプライベートを見られたくない方に人気です。
ただ、玄関から廊下やお部屋に繋がっている普通の間取りと比べて、玄関と階段・収納しかない空間は狭く感じるかもしれません。

もう1つは、1階にリビングやお風呂などの水まわりがあり2階に寝室や個室がある、という風に生活空間が二層に分かれている、まさしく一戸建てのようなタイプです。最近では、1階に個室、2階にLDK・水回りという間取りも人気のようです。
LDKが明るくなることや、2階にキッチン・洗濯室・ベランダを配置し時短で楽な家事動線が確保できるなど、各ご家庭の暮らし方に合った間取りがあるということですね。生活空間がワンフロアのお部屋よりは、2階部分での足音を気にしなくていいという点から、やんちゃな年代のお子様がいるご家庭からも人気のようです。
1階2階と生活空間がはっきり分けられるため、オンオフの切り替えが必要な在宅ワーカー(リモートワーカー)の方にもおすすめですよ。

実際にポポラートに載っている、一戸建てのような【メゾネットタイプ】のお部屋は下記リンクをご覧ください。
100.68m²の3LDK+S、広いルーフバルコニーのあるお部屋です。

共通するデメリットとして、2層以上で構成されているという観点からバリアフリー性が低い物件と言えます。 室内に階段があると、重い荷物や大きな荷物を運ぶ時には不便を感じることもあるでしょう。小さなお子様や足の不自由な方とって、階段は危険も伴います。手すりやすべり止め、ベビーゲート等の工夫が必要になるかと思います。 また、家事においても掃除範囲が広くなります。特に階段は上り下りする時の空気の流れから埃が溜まりやすく、それが目の高さあたりにあるとかなり目立ちます。お掃除が好きではない方、頻繁に出来ない方にはあまりオススメ出来ません。 さらに、2層になっていることで冷暖房の効率も悪くなることも予想されます。オシャレな螺旋階段や吹抜け等の作りを採用しているお部屋では冷暖房の効きが悪い、光熱費が余計にかかるなどの点もデメリットになります。 加えて、階段は直線だと1.5帖分、回り階段だと2帖分が標準面積です。階段下を収納などに利用している場合でも、階段以外に使えない面積分が無駄だと感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。

【ロフト】のメリット・デメリット

【ロフト】とは、英語で「屋根裏部屋」という意味です。元々は屋根のすぐ下にある部屋に使われていましたが、今では天井の下にある小部屋にもこの言葉を使用しています。

始めにご説明した通り、ロフトはそもそも、人が「部屋として使用する」ことを想定していません。お部屋を実際に見てみると、ロフトの床面と天井との距離が近い(=天井が低い)のが印象的ではないでしょうか。高さが1.4m以下と決まっているため、そう感じて当然ですよね。(逆に言えば、1.4m以上の天井高がある場合、厳密には【ロフト】には当たらないことになります。)
また、階段というよりも、はしごで上がる形式のお部屋がほとんどです。その方が省スペースなので、お部屋をなるべく広く使うための工夫です。はしごは壁面に固定されている場合もあれば、使う時に立てかけて設置する可動式の場合もあります。

特に一人暮らしの方に人気のある間取りで、単身者用のシングルルーム(ワンルームや1K)が人気です。初めての一人暮らしのお部屋を探している方から「希望はロフト付きの部屋です」とお伺いすることもよくあります。

【ロフト】のメリットは、お部屋全体の天井高が比較的高く、開放的であることです。みなさんが良く目にするロフト付きのお部屋は、この画像のような感じではないでしょうか。下は水回り等で使用してその上にロフトを作り、お部屋自体の天井は高い。このような作りのお部屋が多いです。実際の面積よりも広く見えたりして、ゆとりを感じるようです。実際に≪使える面積≫も増えますので、家賃によってはロフト付きのお部屋はお得でもありますね。

また、ロフト部分の使い方を自分なりに楽しめるということに、「ワクワク感」を感じる方も多いようです。視界から外れて見えにくい所にある・こもった感じがする、という点は、なんとも言えない≪秘密基地≫≪隠れ家≫といった印象も生み出します。 法律上では≪収納≫とされていますが、実際の使い方はその部屋に暮らす方の自由です。そこを寝床とする、ローソファとプロジェクターを置いてミニシアタールームにする、壁一面に本棚を設置して私設図書館のようにする、集中して文章や絵をかいたりするアトリエとして使う、好きなものを飾ってギャラリーやショップのような空間を作る……いろんな楽しみ方がありますね。 ファミリータイプの場合、お子様の遊び場として喜ばれているようです。まさに≪秘密基地≫ですね。

デメリットとしては、暑さが挙げられます。暖かい空気は空間の上に昇る性質を持っているため、高い部分にあるロフトに暖かい空気が溜まってしまうのです。夏は死活問題ですね。サーキュレーター等で、室内の空気を循環させる工夫を行うとだいぶマシになりますよ。また、上り下りがハシゴの場合、ねぼけている時・酔っぱらっている時は使わない方が無難です。小さなお子様が使う時は、大人がきちんと注意して見守る必要があります。ハシゴは階段に比べて不安定で足の置き場が狭く、角度も急で危険です。特に物を持って上り下りする時は、気を付ける必要があります。掃除機を持って上るのも難しいですから、ハンディモップや粘着ローラー、小さ目のホウキなどを用意したほうがいいかもしれません。

まとめ

【メゾネット】はマンションに暮らしながら一戸建てのような感覚を体感できる≪両方の良いところを集めた≫お部屋です。【ロフト】は使える面積が広がるだけでなく、≪秘密基地≫感を味わえるお部屋です。どちらもメリットは多いですが、「実際に暮らしてみると出てくるデメリットもある」ということを、頭の片隅に置きつつ、お部屋探しの参考にしてくださいね。

投稿者 あまざわ

お部屋探しのスペシャルサポーター。歴史好きが高じて京都に移り住んだ生粋の歴女、敢えて挙げるなら好きな時代は幕末。得意分野は【お部屋探しのアレコレ】【賃貸契約の疑問】契約について等の難しい内容も、わかりやすい解説をしてくれる。