日々、マンション管理会社として、入居者さんからは様々な相談を受けます。それらは誰でも経験したことがあるようなものから、ちょっと珍しいものまで、本当に多様です。
その中でも今回は「これってポルターガイストですか?」という疑問文が付け加えられるような、実際にあったご相談を紹介しますね。

事例1
洗面所からゴボゴボと【音】が聞こえてきて、見に行くと洗濯機の周りが【水浸し】になっていて異様な【臭い】がする――。

事例2
玄関から【甲高い音】が聞こえてくるのでドアを開けて確認しようとすると、外側から誰かが押しているように【ドアが重く】、無理やり開けると【音が止まり】、そしてそこには【誰もいなかった】――。

どうでしょうか。まるで幽霊の仕業のような、怪談話に出てきそうなお話だと思いますか?
しかし、このような相談を受ける物件は、鉄筋コンクリート造りの築年数が浅いマンションであることが多いのです。幽霊が出るなんて到底思えないような、新しくてキレイなお部屋なのに、どうして……?

実は、これらの原因は【気密性が高いお部屋】にあります。 新しい建物・性能の高いサッシなどは、お部屋の気密性を高めます。
気密性の高いお部屋で換気扇・レンジフードやエアコン等を動作させ、空気を外へ出してしまうと、結果的に中の空気が減って室内の気圧を下げてしまうことになります。足りなくなった空気を室内に取り込もうとして、先ほどの事例1.2のような現象が起こっているのですね。

事例1 洗面所からゴボゴボと【音】が聞こえてきて……

洗濯機の排水口から空気を取り入れようとして起こったことです。排水口の中の封水(洗面や洗濯パンの排水管の中にある、蓋の役目をする水)が引き上げられ、下水臭のある空気を部屋に取り込んでしまっていました。

事例2 玄関から【甲高い音】が聞こえてくる……

玄関扉の隙間から空気を取り入れようとして起こったことです。狭いところを無理やり通ろうとする空気が甲高い音を鳴らし、ドアは外と中の気圧差により重くなっていました。

対策としては、お祓いやお祈り――ではなく、換気扇等を使用する際に、外気を取り込む箇所を作ってください。

ベランダの掃き出し窓の近辺に吸気口があれば、それを開放する。小窓を開ける。若しくは掃出し窓自身を少し開けるなどで解決します。
要注意なのは、吸気口のフィルターが汚れており、充分な吸気量が確保出来ない場合もあるということ。フィルターが入っているタイプの吸気口は、埃などが付着していないかどうか、一度チェックしてみてくださいね。

ちなみに、少し築年数の経過している物件の入居者さんからは、ポルターガイストを疑うような相談をあまり聞きません。それは、サッシや玄関ポストの周囲にパッと見では分からない小さな隙間があり、気圧差による症状が出にくいためです。

というわけで、「え、ポルターガイスト?幽霊がいるの??」と慌てる前に、窓を開けて空気を入れてみてください。現象の正体は、そのお部屋の気密性の高さからきているだけかもしれません。
事例の2つ以外にも、意外な原因が見つかることって多々あります。暮らしてみてわかる心配ごと・不安に思ったことは、お一人で悩まずに、お気軽に管理会社へご相談くださいね。マンション管理のプロなら様々な経験をしているので、思いもよらぬところから原因を見つけることも出来るかもしれません。

それにしても、建物が新しくなり性能も良くなったはずが、それ故に新しいトラブルが起きるなんて不思議ですよね……。

投稿者 やだ

得意分野は【マンションの設備メンテナンス】と【生活での困りごと解決】実体験を基にしたマニアックな知識と解決経験を持っている。