最近は【リフォーム】や【リノベーション】という言葉を良く耳にしますね。
どちらも賃貸物件を新しくする、キレイにする、などの意味合いで使われている言葉です。

では、違いは何でしょうか?

実は言葉の使い分けに関して、厳密な決まりはありません。
というのも【リノベーション】という言葉は、日本では最近使われ始めたものなのです。
昔はひっくるめて【リフォーム】や【大規模リフォーム】などの言葉が使われていました。
しかし建設的手法や条例などの決まりが時代の流れとともに変わってきており、【リフォーム】というカテゴリーに留まらない範囲での改装も増えてきています。

そこで使われ始めたのが【リノベーション】という言葉なのです。
まだ周知徹底とまではいかず、業界内でも言葉の使い分けにあやふやな部分が残っています。
細かな定義はあるのですが、今回は一般的に浸透してきたであろう“違い”をご紹介しますね。

【リフォーム】とは

古くなった建物や部屋を元の【新築のような状態】に戻すことです。
建物の外壁塗装の塗り替えをすることや、お部屋の壁紙や床材を張り替える場合に【リフォーム】と言われます。
まるで新築みたいにキレイだと思っていたら、築年数を知って驚くこともありますよね。

【リノベーション】とは

古くなった建物や部屋を【新しい状態】+【より良い性能】にすることです。
建物の外壁塗装の塗り替えの際に一部分にタイルを貼りオシャレな外観にすることや、お部屋の間取りを3DKから2LDKに替えたりする場合は【リノベーション】と言われます。
キレイにするだけでなく、機能性やデザイン性を向上させることにより、価値を高めることが出来ます。

例えばキッチンで【リフォーム】と【リノベーション】を比べてみると?

少し古めの賃貸物件には、ブロックキッチンが良く採用されていました。
ブロックキッチンとは、調理台・シンク・コンロ台を組み合わせるキッチンのことです。
ガスコンロを電気屋さんで購入して置くタイプのキッチン、というとイメージしやすいでしょうか。

そのブロックキッチンのお部屋があるとして、古くなったブロックキッチンを新品のブロックキッチンに変えると【リフォーム】です。
古くなったブロックキッチンをシステムキッチンに変えたり、配管を移動させてキッチンの向きを変えたりすると【リノベーション】となります。

リフォームとリノベーションのコストの違いは?

上の例でわかるように、工事の規模やコストは、【リフォーム】の方が小さく安く済み、【リノベーション】の方が大きく高くなります。
しかし最近では【リノベーション】の方が人気なのです。それはなぜでしょうか?

【リノベーション】の方が人気なワケ

現状として、築年数の古い建物は、なかなかお客様に選ばれずに空室数が増えたり、空室期間が長くなったりしています。
かといって、建物を取り壊して新しく建替えるのは色々と大変なことです。
建替えよりもコストが削減でき、工事期間も短縮できるという理由から、既存の建物やお部屋を【リフォーム】したり、【リノベーション】したりすることが流行っているのです。
そしてさらに、【リノベーション】は「オシャレで機能性の良い部屋」にすることで、お客様からも選ばれやすくなるという利点があります。
賃貸物件にとって、入居してもらえるという点は一番大切です。
コストパフォーマンスの良い【リノベーション】は必然的に人気も高くなるのです。

その他にもいろいろあります!

他にも改装、リニューアル、コンバージョン…など、見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

改装やリニューアルはどちらかというとリフォームに近い使われ方をしている言葉ですね。
改装は「装いを改める」こと。建物をキレイにしたり、模様替えしたりという場合に使われます。改装=リニューアルですが、特にリニューアルは店舗の新装開店時によく使用されている言葉です。

コンバージョンという言葉を知っている方はなかなかの通かもしれません。
これは、用途を変更する【リノベーション】のことです。
代表的な例は事務所や店舗に使われていたフロアを人が暮らせるお部屋に作り替えることですね。
京都らしい例でいえば、古き良き町屋を素敵なカフェやバーに作り替えたり、土蔵を住居空間にコンバージョンした家なんかもありますよ。

いずれにせよ、築年数だけではわからない良さがたくさんありますので、建物のデータや条件だけでなく、画像を見たり内覧に出かけたりしてみてくださいね。
特に【リノベーション】にはこだわりのデザインや機能性という付加価値がありますので、一見の価値ありですよ!

投稿者 なかざわ

マンション管理一筋20年のベテラン管理職。真面目な頭脳派、家族&猫(可愛い)と暮らす40代男性。得意分野は【賃貸市場の動向等のマーケティング分野】と【リフォーム等の住まいづくり分野】 知識量・経験値(失敗談含む)はライター内ナンバーワン。 [宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士]