最近少しずつ増えてきた、【家具家電付き】のお部屋。みなさんはどんなイメージをお持ちでしょうか。
・あらかじめ物品が用意されているので、身軽に引っ越しができる。
・自分で家具家電が選べず、ダサい・古い型のものになってしまう。
前者は良いイメージ、後者は悪いイメージを挙げてみました。
で、実際はどうなの?というところが気になる方へ向けて……!今回は、家具家電付き賃貸のプランから購入・設置、入居者さん募集までを行う、管理担当者の目線でぶっちゃけます!メリットだけでなくデメリットもきちんとお伝えしますし、そのデメリットの回避方法まで教えます!検討中の方、気になってた~って方は要チェックですよ。

ちなみに、ホームステージャーとは「家具や小物を使って演出することで、住みたい家を作るプロ」のことです!インテリアコーディネーターとどう違うの?等の詳しいコラムはこちらをご覧くださいね。

メリット1>時間と手間の節約になる!

家具家電一式を短期間で用意することって、実は難しいです。
お部屋によって大きさやコンセントの位置は違いますから、以前の部屋で使っていたものが必ず使えるとも限りません。
それらのサイズを測る→配置を考える→お店に出向く→選び購入する→合うもの・気に入ったものがなければ何店舗かを巡って探す……という家具家電探しの旅はなかなか骨が折れる作業なのです。さらに、物によっては配送や設置を依頼しなければいけませんが、引越シーズン等と被ってしまうと即日配送は難しく、日数もかかってしまいます。
現在住んでいるところと遠く離れている場所への引越ならば、お部屋の内覧すらままならない方もいらっしゃるでしょうね。
もう愛用の衣服類だけを宅配便で送ることで精いっぱい!という忙しい方もいらっしゃるでしょう。
要は、転居前後にゆっくりと生活を整える時間や手間が必要なのですが、それが難しい方には、【入居前に生活に必要なものがある程度揃っているお部屋】を選んでいただくと便利ですよ、ということです。随分、時間と手間の節約になりますよ。

メリット2>費用の節約になる!

「引越に伴う費用ってなんでこんなに高いの?」
と、思いますよね、正直。
何にお金がかかるのかというと、
・今まで住んでいた賃貸物件の退室時にかかる原状回復費用など
・引越業者さんに依頼する費用(時期や距離、荷物量で大きく変動します)
・次に住む予定のお部屋の前家賃や敷金・礼金・火災保険、仲介手数料などの初期費用
これらを単純に【中距離・学生さんの初めての一人暮らし】で計算すると、平均30~40万円はかかると言われています。

さらにもっと現実的なお話をすれば、
・現在使っているが引越先には持っていかない不要物の処分費
・旧居から新居への自身の移動費
・引越前後の外食費
などが馬鹿に出来ない出費となる場合もあるでしょう。

そのため、色々と節約努力をされている方もいますよね。
不要物はリサイクルショップやフリマアプリを利用したり、引越業者さん何社かに相見積もりをもらって比較検討したり、あるいはなるべく自分たちで運んだり……。

ここへさらに、新生活に必要な最低限の家具家電一式を揃えようとなると、その費用がまた+15万~20万円程かかります。※一般的な間取りの一人暮らしを想定(機能性やデザイン性にこだわるともっとかかりますよ!)
それに、今回のお引越しで購入した家具家電は、数年後の次の引越先に持っていきますか?大学生での4年間をこの家で暮らしたら実家に帰る予定だったり、期間限定の単身赴任や転勤だったりしたら、それらは不要になりませんか?そうなると、また処分について考えたり手間や費用が掛かったりしてしまうのです。

こういった点を考えると、【家具家電が付いてくる賃貸物件】は、かなり出費が抑えられることになります。

メリット3>インテリアが完成している部屋もある!

家具家電付きの賃貸マンションにマイナスイメージをお持ちの方から「付いてくる家具や家電が少しダサかったり中古だったりと、ちょい我慢ポイントがあるのでは?」と訊かれたことがあります。確かに、そういったお部屋が無いとは言いません。しかし、最近は意外とおしゃれだったり、新品を揃えていたりするところもありますよ!

このお部屋探しサイト「ポポラート」の運営をしている管理会社 長栄は、大家さんとしても賃貸マンションを数多く所有しています。(そういった大家さん=管理会社の賃貸物件を【自社物件】と呼びます。)そしてそれらのお部屋でも、「家具家電付き賃貸」を行っています。実際、私は管理担当者として今まで100件以上の家具家電付きプランを担当してきましたが、8割は新品を購入して揃えました。

私は【ホームステージャー】でもありますので、そのお部屋に合うデザインのものを厳選し、インテリアを統一し、「こんなお部屋に住みたい!」と思っていただけるモデルルームも数多くご用意してきました。
つまり、不動産会社の方針や大家さんの事情、担当スタッフに寄るところも大いにありますが、「家具家電付きのお部屋」には、モデルルームとしてインテリアが完成されているお部屋もあるということです。
オシャレなお部屋に住みたいけどセンスに自信がない、という方は、そういう部屋との出会いを求めるのもアリだと思いますよ。

ちなみに、ここ数年で【家具家電付き】という条件のお部屋というのは数が増えてきており、インテリアなどのクオリティーもどんどん上がっています。そのため、新品の家具家電部屋を狙うチャンスは今かもしれません……!!というのも、ある程度それらの条件が浸透してくると、必然的に中古の家具家電が増えてくることになるからです。

アスール江坂3rd

コンクリート打ちっ放しのデザイナーズマンションです。家具・家電・小物までこだわり、シックな色使いと遊び心を効かせた空間をプロデュースしました!

セレニテ梅田北プレミアム

ダークブラウンの床・建具に合わせて、ダークブラウンの家具を合わせたお部屋。
落ち着きのある、洗練された大人の空間になっています。

デメリット1>自由には選べない?

家具家電付きのお部屋は、
・あらかじめ家具家電が用意されているお部屋
・入居の申込みが入ってから家具家電を手配するお部屋
の2つパターンがあります。

前者の場合、「ほしいもの」だけでなく「要らないもの」も選べない場合がほとんどです。
これは、「この家具は持っているからいらない」とお客様に言われたものでも、その部屋以外には行き場がないことが多く、移動させることが難しいという事情があるのです。
自由にほしいものを選べないのはデメリットの一つですね。
ただし【自社物件】と銘打った物件なら、もしかしたら相談に乗ってもらえる場合があるかもしれません。一度仲介業者さんに訊いてみてください。

そして、後者の「入居の申込みが入ってから家具家電を手配するお部屋」の場合、前者よりも少し融通が利く可能性があります。しかし、欲しいもの・要らないもの等の希望をかなえてもらえる場合は、搬入までに時間がかかることがあります。特に繁忙期は難しくなりますので、ご希望の入居時期には十分注意してください。

ちなみにお部屋によって付いてくる家具・家電は様々です。その点にもご注意ください。

詳細はこちらのコラムでもご紹介していますが、家電が最低限の3つだけ付いてくる場合から、ラグ・カーテン・掃除機や湯沸かしケトルまで揃っているお部屋などいろんなパターンがあります。
「家具家電付きなら楽でいいや~」と安易にお部屋を決める前に、必ずどんなものがついてくるのか確認しておきましょう。

デメリット2>設置物・プレゼント・残置物で扱い方が変わる?

もう一つデメリットとして挙げたいのが、付いてくる家具家電が何に属するものなのか?という点で扱いが変わることです。それらが少しややこしく、自分のものだと思い込んで勝手に処分すると弁償しなければならない場合があったりするのです。

そのため入居したお部屋に置いてある家具家電が、
・【設備】なのか?
・【プレゼント】なのか?
・【残置物】なのか?
といった点を、あらかじめしっかり確認しておいてください。壊れた時や引越時に、それらの扱い方が全く異なってくるからです。

ほとんどの場合は【設備】として扱われ、退去する時は全て置いてかなければいけません。【借り物】という意識を持ってください。入居者さんが勝手に処分してしまうと買い換えの料金を請求されてしまいます。「部屋を出る時に返却するもの」として、綺麗に使いましょう。
また、使い方が悪くて壊れたら、修理代を請求されてしまうこともあります。壁紙を傷つけたり、穴をあけてしまったりした場合と同じ扱いだということですね。同時に、設備は「通常の使用をしていたのに壊れてしまった」という場合は無償で対応してもらえます。
ただ、どちらにせよ速やかに管理会社に連絡を入れた方が吉です。破損の原因が何であれ、退去時まで放置すると使用者の方が不利になってしまう可能性が高いからです。基本的には、契約書にもすぐに通知するようにと記載されている場合が多いです。

それに対して【プレゼント】の場合は、入居者さんが【もらったもの】なので、どういう扱いをするかは自由です。修理も買い替えも破棄も自由に出来ます。ただし、退去する際はお部屋に残して行ってはいけません。ご自身で持っていくか、処分するかが必要になります。家具や家電が欲しかった人には嬉しいかもしれませんね。しかし不要な方には前途のように、処分に手間や費用が掛かってしまうことになります。メリットのつもりがデメリットになっちゃった……となると残念なので、引越の荷物を少なく身軽にしたい方や一定期間を終えて実家へ帰る方は【設備】として【家具家電付き】となるお部屋を選びましょう。

そして【残置物】とは、「前の入居者さんが置いて行ったものなど」です。(残置物をプレゼントとして扱うところもあります。)それらは、お部屋の一部でも大家さんの所有物でもありません。そのため壊れても修理や買い換えの対応はしてもらえません。そのかわり、修理費等を弁償する必要ありません。
例えばクーラーが残置物だったとします。無理な使い方をして真夏に壊れた!となっても、弁償する必要はありませんが、ご自身で修理費を払わなければ直してもらえないということです。(クーラーの買い替えに関しては必ず事前に管理会社へご相談くださいね!)

お部屋を借りる時に、【設備】なのか【プレゼント】なのか【残置物】なのかは、確認しておきましょう。「これらの家具家電は、壊れた時や退去する時にはどういう扱いになりますか?契約書のどこに記載されていますか?」と訊いておくとベストです。

まとめ

家具家電付き物件は、引っ越しの手軽さと初期費用を抑えられることが最大のメリットです。一方で、マンションの一部として借りているということを意識しながら、綺麗に使わないといけない場合も多くなります。

進学や単身赴任等で一定期間だけの転居となる方や、転勤などで転居を繰りかえす方にはオススメです。利点を多く感じていただけるのではないかな、と思っています。

確認事項が多くはなりますが、情報を集めながら、自分に合った物件探しをしてみてくださいね。

投稿者 おきやす

「住みたい」と思ってもらえるお部屋を作るホームステージャー。得意分野は【インテリア】【モデルルーム作り】など。幼い頃チラシに描かれた間取り図に理想の家具配置などをラクガキして遊んでいた生粋の「お部屋好き」である。 [ホームステージャー2級]