自社物件の家具家電プロデュースと、ステージング担当をしています、おきやすです。
今回は今取り組んでいる私の仕事を紹介していきたいと思います!成功も失敗も、包み隠さず暴露していきますね(笑)
ある日、私のメールボックスに自社物件チームのボスからの指令が届きました。
とあるデザイナーズマンションのお部屋を指定して「添付写真のような部屋を作ってください」とのこと。
写真を確認すると、なるほど、オシャレで素敵なお部屋でした。

※画像はイメージです
・お部屋の主役は大きな観葉植物たち
・打ちっぱなしコンクリートの壁
・ダークブラウンの床
・黒いアイアンとウォルナットの木を組み合わせた家具
物はたくさん置かず、色味も白黒茶色にグリーンだけ。シンプルで落ち着いた、大人のボタニカルインテリアだなと感じました。指定されたデザイナーズマンションには、このオシャレなお部屋と同じような、コンクリート打ちっぱなしの壁が都会的なお部屋があります。
つまり、「オシャレな家具家電付きのお部屋を作成せよ」ということです。今までよりも少し挑戦的な指令でもありました。
私の第一印象の感想としては、「なかなか大変そう……」でした。
もちろん、インテリア好きとしては「素敵なお部屋!作ってみたい!」ですよ?でもそう簡単にはいかないのが、このお仕事の難しいところなんですよね。「こんなにたくさんの植物と質の良さそうな家具を選ぶと、一体いくらかかるんだろう……?」というのが、賃貸物件のホームステージャーとしての本音です。通常のホームステージングは売買になり、それなりにお金をかけて行いますが、賃貸だと収入もそう多くない分、かけられる予算が少ないのです。
ホームステージャーとしての悩みはさて置き、次ページでまずは対象となる物件のお部屋を現地確認します。
今回は1LDKのお部屋で企画することになりました。メインのお部屋が13.5帖、そこに3.5帖の洋室と大きなクローゼット、キッチン・お風呂などの水まわりがある間取りです。

どんな家具を置くか、現地で悩みます。今回イメージ画像として送られてきた写真は6帖程の1K物件でした。しかし間取りが1LDKと広くなるので、そのままマネするわけにもいきません。まず置ける家具の数が違います。
1LDKの家具付きのお部屋をつくるとなると【ベッド・ソファ・ローテーブル・TVボード・ラックやシェルフ】などを置くプランがオーソドックスですね。メインのお部屋の広さが15帖以上あるなら、カウンターテーブルやダイニングセットを置くこともあると思います。家電も置く場合は、【テレビ・洗濯機・冷蔵庫・電子レンジ・炊飯器】の5点が代表格です。
そしてターゲット層も、1Kと1LDKでは大きく変わってきます。マンション周辺の環境も含めて、入居される方を具体的にイメージしながらお部屋の演出を考えなければいけません。6帖1Kの物件なら、基本的にシングル・お一人暮らし向けです。学生さんか、社会人さんなのか? というところですね。しかし1LDKとなると、広めの部屋で暮らしたい一人暮らしの方から、カップル・新婚さんや小さなお子様がいるご家庭にも人気の間取りとなります。
今回は立地が大阪梅田の程近く、オフィスビルや商業施設、緑豊かな公園やマンションがバランスよく建ち並ぶ人気の【江坂】という地域です。駅から徒歩5分、コンクリート打ちっぱなしの壁のデザイナーズマンションです。LDKが13.5帖で、もう一つの3.5帖のお部屋をベッドルームとしたとしても、ファミリーやカップル向けと言うよりは、上質なお一人暮らしを求める単身向けの1LDKだと考えました。
コンセプトは【打ちっぱなしコンクリート×観葉植物】で洗練された癒し空間をどの様に作るのか……これは私にとって、新しい取り組みです。
ターゲット層を「上質なお一人暮らしを求める方」と設定した私は、次に「どんな家具を置くとターゲット層が求めている部屋になるか」を考えていきました。
グリーンを主役に、シンプルな家具たちがある部屋。生活感よりも、少し【非日常感】が欲しいな……。
床に物を置く習慣がつくような家具を置くと、すぐに生活感が出てしまいます。そのため、いつもならラグとローテーブルのセットは鉄板ですが、今回は敢えて外すことにしました。そして代わりに、カフェテーブルセットを置くことにします。

もちろん、グリーンが映える黒いアイアンとウォルナットの木の洗練されたデザインのものです。ここで香りの良い珈琲を飲みながらノートパソコンで作業をしたり読書をしたり。多肉植物の寄せ植えを置いても素敵ですよね。イメージはカフェテラスです。お部屋なのに、カフェテラス。こだわりの【非日常感】演出の主役はこのカフェテーブルセットに決まりです。それに合うような、ダークブラウンのヴィンテージ風一人掛けソファとサイドテーブルも選びました。他にも、ベッド・テレビボード・ラックも【アイアン×ウォルナット】で揃えて、そこに家電の代表格5点をセットしました。
さあ、もうこの時点で私の中の「普通のお部屋を作っても面白くないし!」という言い訳ワードが生じましたが、はい、このまま突き進みます!
さて、次は具体的に家具を選んで見積を取ります。

提携している家具業者様で扱っている家具の中から「いいな」と思った家具をリストアップしていきます。大きな観葉植物はユッカ・パキラ・トラベラーズ・ウランベータ・モンステラなど、初めて名前を知るものも多かったです。イメージ通りのものがあまり見つからず、不安になったりもしました。
こうして「実際に購入するとしたら」という見積段階になってみて気がついたのが「1つ1つが高い」ということです。やはり大きな観葉植物は1つ20,000円程するものもありますし、洗練された素材とデザインの家具は流石のお値段です。
いつもよりも数倍に膨れ上がる見積を想像しながら、同時に、ボスの苦い顔がチラッと脳内を通り過ぎながら、見積依頼のメールの送信ボタンをクリックしました。少し手が震えたのは秘密です(笑)
そしてボスからの返答は……
「高いから、植物とか家具を削って、この予算内で宜しく」
提示された予算よりも、見積額は約20万円もオーバーしていました……。
やはり高すぎました……。
「ですよね~」
と少し気落ちしました。
が、しかし、しかしですよ!今までホームステージングしてきた他のお部屋と比べると、予算額が多いです!私のプレゼンから、ボスは「いつもの予算ではこのオシャレな部屋は作れない」と感じ取ってくれたということですよね。この予算は勝ち取ったと言っても過言ではないのでは?!
さあ、ここからが私の力の見せ所です。
予算をたっぷりかけて良い部屋をつくるのは誰だって出来るでしょう。【いかに予算をかけずに良い部屋を作るかが、賃貸ホームステージャーの腕!】……というのが私のモットーなのです!

まず減らせるものを減らします。ボタニカルインテリアのイメージを損なわず、予算の枠内でどこまで減らすか。脳内で色々とイメージを膨らませます。やはり植物は少し減らさなければなりません。そして家具も、一番必要性の低いラックを削りました。このラックだけでも4万円くらいは削れます。ああ、しかし、まだ20万円減には届かない……!でももうこれ以上家具や植物を削ると、部屋が寂しくなってしまう……!!
ここまできたら次は家具の選び直しをします。こだわりの素材とデザインの家具たちは高額です。今回はインテリアとしてデザインを優先したいので、素材のランクを少し下げていきます。TVボード、サイドテーブルのランクを少し下げ、デザインが似たものに変更しました。できる限りテイストをそろえるように気を付け、見栄えを気にしながら進めます。
そして、一番悩んだのは私のテーマ【非日常】の主役家具であるカフェテーブルセットです。もう正直に言いますと、
「ランクを下げると、急にダサい!!」
しかしながら、一番お金がかかっているのもカフェテーブルセットです。提示された予算金額では、かなりの割合をこのセットに掛けてしまっています。しかしターゲットは……コンセプトは……ボタニカルインテリアとは……!
悩みに悩んだ末、私が出した答えは【カフェテーブルはこのまま残す!】ということ。
その代わり、家電の方を削り、5点セットではなくテレビだけ付いてくるプランにすることで、なんとか予算に近付けていきました。もし「テレビ以外の家電も付けてほしい」というお客さんがいた場合は、別途対応することも可能というプランです。
そして再度見積依頼します。再見積が届き、資料を訂正し、ボスに再提出しました!!
実は、提示された予算よりちょっとオーバーしちゃったんですが……さてさて、ボスからのOKは出るのでしょうか?
次回はこの後の続きを、ホームステージングafter写真を添えてご紹介したいと思います!
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後編公開致しました!