マンションの入居者様からの相談に「排水の流れが悪いのですが、どうしたらいいですか?」と言うものが非常に多いです。

使用方法や日々のお掃除が不十分だったことなどが原因で排水が詰まってしまって、専門業者さんに依頼することになったり、修繕が必要になってしまった場合、入居者様が費用を負担しなくてはならないこともあります。

よく詰まってしまう箇所は?

マンションで排水の詰まりが発生する箇所としては【浴室】【洗面台】【キッチン】【洗濯機】【トイレ】 です。

実はいずれも日常的なお手入れで防げる場合が多いのですが、マンションの設備は物件ごとに異なりますから、馴染みがない型の設備だったために見落としてしまったり、どこまで触っていいものかわからなくて何年も掃除をしていない場合など「知っていれば防げた」トラブルも多くあります。

排水詰まりの予防のために、注意するポイントやコツをご紹介いたします。

浴室の排水詰まり

浴室の詰まりの原因は、何と言っても『髪の毛』です!ポイントは

  1. 髪の毛が排水口に流れないようにする
  2. 流れてしまった髪の毛をこまめに取り除く

1. 髪の毛が排水口に流れ込まないようにするには、排水口に貼り付ける詰まり予防グッズ

排水口に置いたり張り付けたりする「髪の毛キャッチ」や「髪の毛取り」「ヘアキャッチャー」等の商品名で、便利グッズがホームセンターや100均で売られているものです。
これを使えば、浴室での排水詰まりはかなり改善出来ますし、お掃除も格段に楽になります。

使い捨てや洗って繰り返し使えるもの、オシャレな柄付きのものなどいろいろありますので、何かのついでに気にかけて探してみてください。

2. 流れてしまった髪の毛をこまめに取り除く

定期的に排水口を開けて掃除することも必要です。お風呂の使用頻度や髪の毛の長さ、入浴剤を使用しているか等によって変わりますが、月に1度はお掃除しましょう。

カビやヌメリ、ニオイの予防のためにもお掃除は大切です。カビは発生し始めるとどんどん広がっていきますし、ヌメリ汚れはほっておくと排水口の奥の方まで汚れて、汚れが張り付いて詰まりの原因にもなります。
また排水口のニオイの原因も、カビや汚れである場合が多いです。

パイプに流れてしまった髪の毛を溶かす洗剤などもありますので、流れが悪い場合は試してみるのもいいかもしれません。
※強力な薬品ですから、使用方法をよく確認してから使いましょう。プラスチックや金属など、排水口のカバーや排水管の素材にも注意しましょう。

洗面台の詰まり

「ひげ剃りの刃」、「歯みがき粉のキャップ」、「つまようじ」、「輪ゴム」、「ピアス」などが引っかかって、そこに細かいゴミや髪の毛が絡まって詰まってしまうことがよくあります。洗面台の排水つまりで一番多い原因は、誤って小さなものを排水口に落としてしまうことです。

  1. 排水口にモノを落とさない
  2. 落としてしまったら見て見ぬふりをせず連絡

1. 排水口にモノを落とさない

小さいものを落としてしまってもすぐに詰まりを実感することはないので、『水と一緒に下水までうまく流れた』と勘違いされがちですが、実は洗面台の排水管に引っかかっていて、その異物に徐々に汚れが蓄積して忘れた頃に排水が詰まってしまうのです。
(落としたくて落としている人はいないのですが、)
物を落とさないように日頃から注意しましょう。

洗面台の排水口にも、はめ込みタイプの網目状のカバーが存在します。ホームセンターや100均、大型スーパーの日用品売り場などで探してみてください。

2. 落としてしまったら見て見ぬふりをせず管理会社へ連絡

万が一、何か落としてしまった場合は、「まぁいいか」と放置せずにすぐに取り除きましょう。何事も、見て見ぬふりで放っておいて良いことはありません。

排水口から覗き込んで見える位置で引っ掛かっているなら、割りばしや竹串などで拾ってください。
奥の方まで流れてしまって見えない場合は、マンションの管理会社に依頼してください。洗面台の排水管は、たいてい分解出来る構造になっています。ただ、詳しくない人が見よう見真似や勘に頼って分解してしまうと、逆に水もれの原因になってしまうことがあります。

よほど排水管に関して自信がある方は別ですが、基本的に管理会社へ依頼してください。

少々費用が掛かる場合もありますが、この時点で放置すると、いざ排水が詰まって溢れかえって困ったときに、もっと高額の費用がかかります。さらに万一、それが原因で下の階の入居者様に被害が及んだ場合、それこそ莫大な請求をされると言う最悪のケースを招きます!

キッチンの排水詰まり

色々なものが流れ込みやすいのがキッチンです。
小さな食材のクズ、割れた食器の破片、スポンジの欠片、タマゴのカラなど分かりやすい固形物から、油汚れが排水管にへばり付いて蓄積され、詰まりの原因になる事もあります。洗面台同様、たとえ小さなゴミであっても排水口に固形物を流さないことを心がける事が重要です。

  1. 排水口にゴミや油を流さない
  2. 定期的にチェックをする

1. 排水口にゴミや油を流さない

キッチン排水口のごみ取りネットはぜひ使ってください。油ものを洗うときは先にふき取ったり、油を固める便利グッズを利用するなど、そのまま流してしまわないようにしましょう。

2. 定期的にチェックをする

また、定期的にシンクに水を溜めて一気に流すことで、排水管の内側に付いた油汚れなどをある程度押し流すことができます。この時、詰まりが発生しかけていると水の流れが悪くなりますので、チェックにもなります。

シンクにパンパンに溜めると空気が上がってきたときにこぼれて水浸しになることもあるので、半分くらいの水にしましょう。

洗濯機排水の詰まり

洗濯機の排水は、やはり衣類からの繊維や洗剤カスが詰まりの原因です。ポイントは

  1. 洗濯機のクズ取りネット
  2. 洗濯パンの排水口の掃除

1. まずは洗濯機のクズ取りネット

こまめにネット内のゴミを捨てましょう。
クズ取りネットがいっぱいになっている場合は分かりやすいですが、何も溜まっていないように見えて、実はネットが破れていたり、ネットの目が細かい繊維で詰まって機能していなかったり、せっかく付いているのに意味が無い状況になっていることを見かけます。

2. 洗濯パンの排水口の掃除

そして何より見落としがちなのが排水口の掃除です!きれい好きの方でも洗濯機の下の洗濯パンの排水口は忘れがちです。排水ホースを抜き、目皿を外すと簡単に掃除が出来ます。

分解するときには、土台の部分を取り外さないように注意して下さい。※この部分を緩めてしまうと、下階に排水がすべて流れていってしまいます。


大掃除の時と、臭いが発生しやすい夏場など、1年に2回ほど思い出していただけると詰まる可能性がとても低くなります。お掃除後は洗濯機のホースをしっかり取り付けることにも気を付けましょう。
奥深くまで分解しすぎると元に戻せなくなるので、ご自分でお掃除するときはこれくらいまでにしましょう。

トイレの詰まり

トイレの排水詰まりは、発生するとすごく嫌ですよね。トイレが詰まる原因は、本来流してはダメな異物を流してしまうケースが最も多いです。

水に溶けないティッシュペーパー、下着類、食べ残し、子供のおもちゃなど、様々な詰まりの現場を数多く見てきました。

  1. トイレに流せないものは絶対に流さない
  2. 「節水」はほどほどに

1. トイレに流せないものは絶対に流さない

誤って便器内に物を落としてしまった場合。勇気がいるかもしれませんが、手を突っ込んで拾いましょう!

ひょっとしてこのまま流れるかな・・・と思ってレバーを捻ったばっかりに、汚水が逆流して部屋中が汚水まみれになってしまった悲惨なケースもあります。

2. 「節水」はほどほどに

また、「異物を流していないのに詰まってしまった!」というケースで多いのは、節水目的でトイレタンク内にペットボトルなどを入れている場合です。

トイレタンクに溜める水を減らすことで節水になるという裏技ですが、これはトイレに流す水量を減らしてしまうということです。

通常、水洗トイレはタンク内の水量で「押し流す」ことで、汚水管まで汚物を流します。 これが、水量が少ないと、便器内からは汚物が流れたように見えますが、途中で止まってしまい汚水管までしっかり流れていないことがあります。 水の勢いが足りないために途中まで流れた汚物がそこに留まってしまい、溜まっていって詰まることがあります。

水道料を節約していたら、結局は詰まり除去のために業者にお金を払う羽目になりますので、決められた水量でトイレはしっかり流しましょう!

詰まり対策とはつまり

さて、長々と色んな詰まり対策をご紹介しましたが、結局のところ 一番重要なことは『排水口にモノを流さないこと』です。

これがほとんどの詰まりの根本となります。

「排水口」や「排水管」とは「水」を流すためのものであって、ゴミや要らないモノを流すようには作られていません。

水に溶けないものを流してしまった時点で「問題が発生した」と考えてください。

それでも排水が詰まってしまった場合は

ホームセンターで「真空式パイプクリーナー」と言う商品が2,000~3,000円で売っています。

長いワイヤーの先にブラシの付いたタイプのパイプクリーナーも500~2,000円で売っています。

※先日、スタッフの自宅で排水が詰まったそうで、このワイヤーブラシ型のパイプクリーナーを使って事なきを得たそうです。

これらはネット通販でも手に入ります。

こういったものがあると、いざ詰まりが発生してしまったときにも、解消できるかもしれません。詰まってしまってどうにもならなくなる前に、「ちょっと流れが悪いかな・・・」と思ったら、試してみてください。

それでもどうにもならない場合や、自分で対処するのが不安なときは、マンション管理会社へご相談ください。どの排水が詰まっても、マンション管理会社は対応します。

専門業者による対応になる場合や費用が発生する場合もありますが、出来るだけご自身で業者さんを呼ぶ前に管理会社へご相談されることをお勧めします。

管理しているマンションの設備に最も詳しいのは管理会社ですし、ご入居前に点検を行っているのも管理会社です。

ご入居者様の使用方法が原因なのか、設備の老朽化や不具合によるものなのか、他にもよくあるトラブルなのか、など、マンション管理のスタッフは様々なケースを経験しています。 困ったときは、管理会社へ!

投稿者 やだ

得意分野は【マンションの設備メンテナンス】と【生活での困りごと解決】実体験を基にしたマニアックな知識と解決経験を持っている。