賃貸マンションの管理人として「暑くなってきたなあ」と季節を感じる相談があります。それが、【エアコン室内機からの水漏れ】についての相談です。今回は、その問題の【予防策】と【対処法】の二つをお伝えします。

実際にエアコンからの水漏れに直面する時というのは、いざ使おうという時、使っている真最中に起こります。それはもちろん、夏のクラクラするような暑い日です。そんな日なのに、エアコンの冷房を付けることが出来ず、業者さんが来るまでひたすら我慢の日々が続く…といった緊急事態は、できれば避けたいですよね。
目次
実は簡単、エアコンの水漏れの【予防策】
実は普段の簡単なメンテナンスで、このトラブルを未然に防ぐ方法があります。
エアコンのメンテナンスと言うと、「素人では難しいのでは?」と思われる方や、「複雑な作業が必要で壊してしまったらどうしよう・・・」と心配な方もいらっしゃるかもしれませんが、そのための作業は、たった1つだけです。
フィルターの清掃
このメンテナンスを定期的に行うだけで大丈夫です。かなり、トラブルを予防できます。
エアコンとは、室内の空気を吸引し、内部の「熱交換器」で冷却(または加熱)して、冷やした(または暖めた)空気を吐き出す、という仕組みで室内の温度を調節できる機械です。 この仕組みからもわかるように、室内の空気を吸引する時に、同時に空気中を浮遊する埃も一緒に取り込んでしまうのです。それを防いでくれるのが「フィルター」です。しかしフィルターが埃で目詰まりすると、空気を循環させる「ファン」は必要量の空気を吸引することができなくなり、「より強い力で空気を吸い込もう!」と頑張ってしまいます。その結果、エアコンの内部により多くの埃が入ってしまうのです。
フィルターが目詰まりしているままエアコンを稼働させた場合、これらの理由から、使用電気量も上がり、電気代も高くなります。エコや節約を心掛けている方にも、エアコンの【フィルターの清掃】はとても有効だと思いますよ。
フィルターが汚れている=エアコン室内機からの水漏れが発生する
ではなぜ、【フィルターを清掃する】=【エアコン内部に侵入する埃を防ぐ】=【水漏れを防ぐ】のか?
そもそもエアコンの水漏れで落ちてくる水は何の水か?というお話からしましょう。実は、その水はエアコン室内機の内部で発生した温度差から生まれる【結露】によるものです。
理科の授業で習ったかと思いますが、空気には、水蒸気が含まれています。その量は≪暖かい空気ほど多く含み、冷たい空気ほど少なくなる≫と温度によって異なります。つまり、暖かい空気を冷たい空気に変化させた時に、それまで含んでいた水蒸気を排出し、【結露】となるのです。
本来ならその水は、室内機のドレンパンという内部に組み込まれたお皿で受け、ドレンホースを通じて室外に排水されます。これが≪何らかの原因≫で外に排出されずに逆流してしまうことでエアコン室内機からの【水漏れ】が起こります。その≪何らかの原因≫に一番多いのが、【埃】なのです。
埃が排水経路のどこかで詰まってしまい、ドレン排水を妨げ、逆流し、水漏れとなってしまっているのです。
【エアコンの水漏れ】の原因の80%はこの排水経路の詰まりだと言われています。
つまり、この詰まりを防ぐために、フィルターを定期的に掃除する→排水の逆流が起こる可能性が下がる→水漏れも防げるという流れが出来るのです。
複合的な理由もあり
複合的な理由として、タバコのヤニ汚れ、という点も挙げられます。タバコを吸うと、煙が出ますよね。その煙に含まれているヤニ(タールとも言います)は、接着剤として使われるほどに「粘着力が強い」という性質を持っています。エアコンが吸引した空気中にあるヤニはその粘着力から、ドレンホース内部で埃をより詰まりやすくさせてしまうのです。
同じような理由で、油汚れも粘着力の強い汚れですね。キッチンなど油をよく使う場所の近くに設置したエアコンも、埃が詰まりやすくなります。
また、ペットを室内で飼っている場合は、そのペットの毛がドレンホースに入り込んで、詰まりを加速させたりもします。これらの原因に心当たりのある方は、より室内の清掃・エアコンのフィルター清掃に気を付ける必要があります。
但し、どんなにきちんと定期的にメンテナンスを行っていても、詰まる時は詰まります!
落ち着いて【水漏れした時の対処法】を実行してください
「エアコンから水漏れが?!」そんな時は慌てず落ち着いて処置を行いましょう。
① まずは漏れてくる水を受け止めましょう。
当然ですが、水漏れを放置すると家財に掛かり汚損や破損の原因となったり、床材が腐食したり、酷い場合は下階への漏水へも繋がります。バケツや洗面器などを置いて、水を受け止めます。
② 次に【室外機】のドレンホースを見に行ってください。
排水の流れを物理的に止めてしまっていないかを目視確認しましょう。水漏れした室内機と繋がっている【室外機】があるところへ行き、ドレンホースが≪下向きになっているか≫≪水が流れやすい形になっているか≫を確認します。(大抵のメーカーは、エアコン取り付け工事説明書に「ドレンホースは下へ向けること」等を明記しています。)
・ドレンホースが上向きに折れ曲がったり歪んだりしているところがある。
⇒その手前で詰まりが起こっている可能性があります。ホースをなるべく下向きにして水が流れやすいようにしましょう。
・ドレンホースの先端がつぶれている、上に植木鉢などがのっている。
⇒のっている物を避けて、つぶれてしまっている部分は切断しましょう。
・ドレンホースの先が水たまりに浸かったり土に埋まったりしている。
⇒ホースの先端を切断するなどして、水たまりや土からは離しましょう。
このように、ドレンホースを≪水の流れやすい形≫に整えてから、次に進みます。
③ 詰まりを取り除きましょう。
詰まりのほとんどが、見えないところで起こっていると考えられます。ホームセンターやネット通販で、エアコンのドレンホースの先端から、詰まり原因を吸い出せる専用ポンプが販売されています。「ドレンクリーナー」や「ドレン詰まり取りポンプ」などの名称で、\1,000~\3,000程で手に入りますので、これらを試してみてくださいね。
【フィルター清掃】【ドレンホースの正しい設置】この2つで、ほとんどの【エアコンからの水漏れ】は解消出来ます!
参考として、エアコンの室内機→室外機のドレンホースの画像をご用意しました。お部屋探しサイト【ポポラート】で実際に紹介しているお部屋のものです。


このように、ドレンホースが水の流れやすい形になっているかどうか、チェックしてくださいね。
そのほかの原因について
専用ポンプを使用して詰まりを解消しても【水漏れ】が直らない場合は、さらに他の原因が考えられます。
・送風口のルーバー・フラップが汚れており、そこで結露が起こっている
・室内機の内部に設置された、水受け皿の「ドレンパン」に亀裂や破損がある
・ドレンパンとドレンホースの接続部分が緩む・抜ける等がある
・壁の中でドレンホースが曲がってしまっている
・熱交換器が汚れている
・エアコンの室内機本体が傾いてしまっている
・エアコン自体に不具合が起きている
汚れを取り除くなどはご自身でも出来るかと思います。しかし、カバーを開けて内部を触る場合は、ちゃんと元に戻せるように注意してください。
何とかしようとして逆に故障の原因を作ってしまうこともままありますので、あまり無理をしないでくださいね。ドレンホースの詰まりを取っても水漏れが治らない場合は、管理会社や業者さんに頼んだ方が無難かもしれません。
当たり前ですが、夏はエアコンの修理屋さんは忙しくなります。すぐに来てもらえないことの方が多いでしょう。何日も待たされてしまう前に、普段からのメンテナンスで故障を予防しましょう!
ドレンホースの詰まりを解消するアイテムを、事前に準備しておいてもいいかもしれませんね。真夏日のエアコン故障は、一刻を争う事態ですから。