「今の設備のまま入居者募集をして、はたして応募がくるだろうか?」
住人の方が退去すると、次の入居者さんを募集する際に、大家さんは考えます。特に、長く入居してくださっていた方が退去した場合、入居当時の設備では時代遅れになっていることがよくあります。
そういった時に大家さんはそのお部屋を【リノベーション】するのです。
【リノベーション】とは、古くなった建物や部屋を【新しい状態】+【より良い性能】にすることです。
リフォームとリノベーションの違いなどについて、詳しいコラムは別記事にあります。気になる方は読んでみてくださいね。
というわけで、今回から『お部屋ができるまで』シリーズを始めたいと思います。退去から募集まで、「どうやってお部屋が生まれ変わるのか?」を、管理会社のweb担当者からご紹介いたします。
普段はウェブサイトの管理の仕事を主にしており、不動産業界に関しては、ほぼ素人といっても過言ではありません。その「ほぼ素人」目線で、建築士やマンション管理を担当するスタッフにアレコレ訊いて、コラムで紹介しよう!という企画です。
築年数の経過したマンションのビフォーアフター、興味のある方はお付き合いくださいませ。
今回お部屋は築43年のマンション
例えばお部屋探しのWEBサイトを見ている時。【築43年】と書かれていると、「古そう……」と感じて、見るのをやめてしまうこと、ありませんか?
その場合、【リノベーション】や【〇年大規模修繕】等の言葉が書かれていたら「ちょっと待った!」と言いたいです。なぜなら先にも述べたとおり、そのお部屋は【新しくより良い性能】に生まれ変わっているお部屋だからです。
では、お部屋は【リノベーション】でどのように生まれ変わっていくのか?
築43年の賃貸マンションの一室を例に挙げ、退去時のお部屋の様子~新しい内装のプランニング~実際に施工していく様子~出来上がり等を、全二回に分けてご紹介していきますね。
普段は表に出ることのない、退去時のお部屋写真や没になったプラン図も入手しましたよ!
まずはマンションの建物全体を見てみましょう。外観のお写真です。
「あれ、築43年……?その割に綺麗じゃない?」って思った方!そう、大正解です。このマンションは数年前に外壁の改修も行っております。
エントランスに入ると、郵便受け。
あ、宅配ボックスもある!これがあると便利なんですよね~。再配達を頼んだりとか、配達予定時間に在宅しておかなきゃいけないとか、地味にめんどくさいんですよね。その点、宅配ボックスがあれば、帰宅時に郵便物と同時に回収すればいいだけ。人気の設備だと言われているのも、頷けます。
廊下も清潔感があり、キレイ!窓があるのも明るくていいですね。個人的には広めの廊下幅もポイント高いです。共用廊下が狭いと、誰かとすれ違う時にちょっとハラハラしてしまう小心者なんです(笑)
さて、どうですか?このマンション自体、【古いマンション】だと一蹴してしまうには惜しい感じ、してきましたか?
退去後、部屋の原状を確認すると見えてくる問題
では次に、本題のお部屋を見ていきます!
8帖のダイニングキッチン+5帖の和室、広~いバルコニー。二人暮らしさんか、ゆったり一人暮らしさんに合いそうな間取りですね。
前の入居者さんは約十数年お住まいだったそうです。前入居者さんが入居された当初からの歴史をお写真から感じていきたいと思います。
お引越しをされた後、空っぽのお部屋、キッチンの方を向いて。
お部屋自体は綺麗にお使いいただいていた様子が窺えます。大変ありがたいことです。
でもやっぱり、どこか懐かしい雰囲気が漂っています。キッチン横の水色のタイルや、換気扇なんかも古いですね。右側の開いているドアは、隣の和室へ続いています。左の茶色のドアは収納だそうです。建具にも歴史を感じます。
さてキッチンに背を向けて、玄関側。
お、玄関横のガラスブロックはレトロで可愛いかも。でも玄関ドアを開けてすぐ部屋の中が見えるのかあ~、うーん、それはちょっと嫌かも。
その横には一枚の棚と、火災報知機……は、大きいですねえ。存在感がすごい。そして配線がむき出しのまま。あー、ほこりが溜まりそう。掃除めんどい。ああ、心の声がダダ漏れてきましたね、スミマセン。
隣の和室はどうでしょう。
大きな押入れ、いいですね。収納は重要です。畳、壁、天井、扉、押入れ。どれを取っても【THE★和室】です。セピア写真にも思える薄茶色の世界。(もちろんセピア加工はしていません)
お風呂場は……
少し哀愁が漂っている気がします。しっかり使い込んだ感じというか。10年以上使用して頂いていたのですから、ね!当たり前ですよね!ちなみにトイレは温水洗浄便座の付いていない、ごくシンプルなタイプだそうです。
そしてこのお部屋の主役と言ってもいいくらいに広いバルコニー。
洗濯物を干すために、このあたりをたくさん歩きました!と言わんばかりの床です。長年雨風に曝され、右下にはコケが生えていますね。
全体的には陽当たりも良さそうですし、活用方法もアレコレと思い浮かびそうなバルコニーなので、ぜひ綺麗にしていただきたい!
リノベーションを決定!プランづくり
さて、建築士さんが下見をし、「竣工当時の設備のままでは、入居者募集をしても応募の見込みがなさそうだ」と判断。間取りや立地、いろんな情報から、入居者さんを【新婚さん・カップルさん】だと想定し、リノベーションのプランを作成していきます。
ダイニングキッチンのプラン。出来上がりがわかりやすい【イメージパース】という画像をお借りしてきましたので見ていきましょう!