こんにちは、はじめまして。賃貸物件の知識の豊富さに自信がある ほそだ です。今は賃貸マンションの管理業務に就いていますが、過去には賃貸物件をご紹介する仲介店での店長経験もあります。仲介店とは、間取り図が店頭の窓にたくさん貼られているあのお店です。一般的な方が言う「不動産屋さん」はこの仲介店をイメージしていらっしゃる方が多いですよね。
仲介店では、お部屋を貸したい人と借りたい人を繋ぐという仕事をしています。そのお店で6年程働き、様々なお客様と出会い対応をしてきた私の視点から、今後いろんなコラムを書いていきたいなと考えていますので、楽しみにしていてくださいね。
今回はこんな私の経験値を元に【賃貸の集合住宅の1階は不人気なのかどうか?】というテーマでコラムを書いてみます。
→様々な種類の「不動産屋さん」がいます。
→お部屋探しに関わるお仕事3つをご紹介します。
マンションの1階は人気・不人気、どっち?
みなさんは「マンションの1階に暮らす」というと、どんなイメージがありますか?
世間一般のイメージでは「1階は不人気」なのだと思います。私もその説をよく耳にします。
実際、私が仲介店でお部屋探しをお手伝いしていた時にも「1階で暮らすのはデメリットが多いから避けたい」と言われることが多数ありました。
ただその一方で「絶対に1階で暮らしたいから空きが出たらすぐに知らせてほしい」と言われることも数多くありました。
それらの経験から、マンションの1階の人気・不人気については「エリアや地域」によって大きく違うのだと気が付きました。
そのためタイトルの答えとしては「マンションの1階が不人気」なイメージはあるが、実際はその通りのエリアもあるし、逆に1階が人気なエリアもある、となります。
ではどんなエリアでは1階が人気で、どんなエリアでは1階が不人気なのか?という点について、私の実体験をシェアさせていただきますね。
京都では不人気なマンションの1階
「2階以上」という条件でお部屋探しをされている方が非常に多かった印象があるのは、京都の仲介店で働いていた時です。
詳細を挙げますと、
・京都御所の南(通称・御所南)あたりの地域
・京都市内で超人気な御所南小学校・中学校の学区内
・高級住宅街といえる街並み
・大きな繁華街やビジネス街が近くにある(祇園祭へも徒歩圏内)
・京都で一番家賃が高いエリア(築浅2LDKで賃料相場が月に約20万円)
・住宅街の道路は狭めで一方通行の道も多い、駐車場も少ない
・家と家の距離も近く、大きな庭のある家は少ない
・集合住宅は木造が少なく、鉄筋コンクリート造等が多い
こういった地域でお部屋探しをされている方には「マンションの1階よりも2階以上でお部屋を探したい」という方がとても多かったです。
→京都市中京区がどんな地域なのかをまとめています。
「2階以上がいい」という一番の理由としては、恐らく防犯面を考えて希望しておられる方が多いでしょう。
1階だとマンション沿いの道路とほぼ同じ目線の高さにベランダや窓があり、他の上階よりも圧倒的に部屋の中が見られやすいですし、侵入もしやすそうに見えてしまいます。
また、京都市内の人口密度が高い地域ではマンション等の建物も密に建てられているところが多くなります。家と家の距離が近く、道路幅が狭いエリアの1階だと日当たりも悪くなってしまいやすいという点が不人気の原因の一つだと思います。
他にも、1階だと虫が出やすい・冬が寒い・窓が結露しやすいなどのデメリットを実感した経験から「2階以上がいい」という方もいらっしゃいました。
これらはつまり、「2階以上のお部屋に住みたい」というよりも「1階には住みたくない」という気持ちの現れた条件なのかもしれません。
→防犯面を気にしてお部屋探しをするポイント5つをご紹介します。
滋賀では大人気なマンションの1階
逆に1階が非常に人気だったのは、滋賀の仲介店でお部屋の紹介・物件案内などをしていた時でした。
詳細を挙げますと、
・JR唐崎駅~和邇(わに)駅あたりの湖西エリア
・琵琶湖と比叡山の間にあり自然豊かな地域
・一般的な住宅街といえる街並み
・賃料相場は比較的安価なエリア(築浅2LDKで賃料相場が月に約8万円)
・京都市内と比べると住宅街の道路は広め
・京都市内と比べると家と家の距離にも余裕がある
・築浅の2階建てアパートが多い
・集合住宅は木造や軽量鉄骨造のアパートが多い
こういった地域でお部屋探しをされている方には「マンションの1階でお部屋を探したい」という方がとても多かったです。
→アパートとマンションの違い、アパートのメリットについてまとめています。
もうすぐ住人の方が引越しされてお部屋が空きますよ~という【空き予定】の段階で、ファミリータイプの集合住宅に入居者募集が出ると、内覧もせずにすぐ申込が入ってしまうほど、滋賀では一階が人気でした。築浅だと空き予定のお知らせから1~2日経った時点で、もう次の入居者さんが決まってしまうこともよくありました。これは不動産の仲介業的には「大人気」といえるスピードです。
1階が人気な一番の理由としては「子どもの足音が下の階に響いてしまうと気を遣うため、2階以上よりも1階がいい」というご意見が圧倒的に多かったです。
先ほどまとめた京都のエリアと比べると、道路や隣の家との距離もあり、1階でも日当たりのいい物件が多いことも「1階を避けない理由」のひとつかもしれません。
また、エリアにもよりますが、滋賀の賃貸の集合住宅には2階建てのアパートが多く、高層マンションは比較的少ないです。
2階建て賃貸物件だとエレベーターはなく階段のみのタイプがメインなので、その昇り降りが面倒くさいから1階がいい、という理由も聞いたことがあります。小さなお子様や大きな荷物を抱えて毎日行き来して生活することを考えると、「一階がいい」という方が多いのも頷けますね。
あと【内階段タイプ】が非常に多いというのも滋賀の集合住宅物件の特徴のひとつです。これは玄関ドアが1階にあり、入ってすぐに階段があり、生活スペースのほとんどは2階になるというタイプのお部屋です。このタイプのお部屋だと、大型家具の搬入に非常に手間を要するという理由から、引っ越し料金が高くなることが多いです。そのためファミリーでない方やカップルの方からも1階は人気でした。
「絶対に1階で暮らしたいから空きが出たらすぐに知らせてほしい」とまで言われていたのは、心配事を減らしたい・余分な体力や費用を使いたくないという、ある意味コスパを鑑みた結果なのかもしれません。
まとめ
『賃貸の1階は不人気なイメージがあるけど、実際はどうなの?』というタイトルに対して、私の実体験からは「エリアや地域による」という一つの結論を導き出しました。
これは家賃の点で比べてみても人気/不人気が見て取れました。
京都だとエレベーター付きの集合住宅が多く「1階」よりも「2階以上」の賃料の方が高い物件がほとんどでした。
逆に滋賀だと「2階以上」より「1階」の方が賃料の高い物件がほとんどでした。
人気=需要があり、家賃も高く設定されます。地域によって、物件のタイプも環境も住まう人々も様々なため、そのエリアの特性・需要に合わせて、家主・管理会社さんは賃料を決めています。
家賃に関しては、皆さんもお部屋探しをする際には「○階は家賃が安い・高い」という固定概念を一度捨て、「そのエリアにはどういったタイプの物件が多く存在し、どういったタイプの物件の家賃が安く設定されているのか」という点を分析してみてもいいかもしれません!
→実体験も踏まえながら最上階のメリット・デメリットをまとめました。